蚕糸・昆虫バイオテック
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特集「カイコ突然変異体の原因遺伝子の単離とその利用について考える」
昆虫の変異体から読み解くオモクローム色素による着色機構とその応用
二橋 美瑞子
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2022 年 91 巻 2 号 p. 2_105-2_113

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抄録

 1.はじめに

 オモクローム色素は,昆虫に普遍的に存在する赤色〜紫色系の色素である。オモクローム色素の研究は,キイロショウジョウバエDrosophila melanogasterの複眼色が白くなるwhite変異体やカイコBombyx moriの卵色変異体など(Morgan 1910; Toyama 1913),100年以上前に歴史をさかのぼることができる。1980年代以降に研究は一旦停滞したものの,近年はショウジョウバエ以外の昆虫におけるオモクローム色素の知見が更新されつつある(Figon and Casas 2019)。本稿では,オモクローム色素の合成とオモクローム色素顆粒「オモクロマソーム(om-mochromasome)」について最近の知見も含めて概説し,オモクローム合成遺伝子を応用した肉眼で判別可能なマーカーについても紹介する。

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© 2022 社団法人 日本蚕糸学会
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