生体医工学
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3D U-Netを用いた死後CT画像における肺領域の抽出
山口 隼弥松延 佑将奥村 美紀池田 典昭徳安 達士
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2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 298

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抄録

ご遺体の死因究明に画像診断を用いる死亡時画像診断(Autopsy imaging: Ai)は,日本のCT装置の普及率の高さも相まって多くの施設で実施されてきている.現在,生体のCT画像に対する臓器抽出に関する報告は多数あるが,Aiに対する報告は少ない.本研究は,特に死後変化が大きいとされる肺領域を対象とし,生体の領域抽出法がAiに適用可能か確認するとともに,Aiにおける肺野領域を緻密に抽出することを目的とする.肺領域の抽出には,3D U-Netを用いた.学習データは,[A]生体のCT画像55症例と,[B]生体のCT画像41症例に死後CT画像14症例を追加した2パターンを用意した.また,抽出精度はDICE係数を用いて評価した.DICE係数とは,0から1までの値をとり,抽出精度が高いほど高い値を示す.死後変化の小さいCT画像と死後変化の大きいCT画像に対して肺領域を抽出したところ,死後変化の小さい方では[A]0.79,[B]0.90,死後変化の大きい方では[A]0.69,[B]0.84であった.生体のCT画像のみを学習した[A]では,特に死後変化の大きなCT画像に対して精度よく抽出することが出来なかった.一方,変化の小さいCT画像,変化の大きいCT画像どちらに対しても[B]の方が精度よく抽出されていることが示され,学習データに死後CTを増やすことで死後変化に対応することが確認できた.

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© 2021 社団法人日本生体医工学会
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