生体医工学
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空間周波数による潜在的連合に関連する脳波リズム変動
加藤 和夫鈴木 貴登門倉 博之
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2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 443

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抄録

視覚的な呈示物のデザイン等に含まれる空間周波数は,その印象を決める一つの要素である.この要素が観察者の感覚に与える影響を明らかにすることが重要であるが,空間周波数は輝度の空間的な変化であるため,これ自体では印象といった主観的な感覚を評価することは困難である.そこで,本研究では空間周波数が潜在的な大脳神経活動に与える影響を,脳波リズムに着目して検討を行った.実験では潜在的な連合を測定できる潜在的連合テスト(IAT)を用いた.被験者には刺激として四角形と菱形の概念画像,または良いと悪い意味を持つ特性語が呈示され,ボタン押しによる刺激属性の判別を行ってもらった.反応時間から概念と特性語の潜在的な結びつきである連合の強弱をIAT得点として測定した.ここで,刺激の背景を高空間周波数(0.61~1.83 cycle/degree),低空間周波数(0.12~0.17)の格子画像,および参照実験としてグレー単色画像とした.またIAT遂行中に測定された脳波から,θ波(4 ~7 Hz)の事象関連分散を算出した.被験者は男性10名である.その結果,IAT得点には高空間周波数に比較して,低空間周波数が大きな変化を与えることが分かった.またθ波分散には,潜時498 msと600 msに分散の増大が見られ,特に前頭部にて,連合の強弱,および空間周波数の高低間に有意差が見られた.

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© 2021 社団法人日本生体医工学会
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