生体医工学
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機能的電気刺激により取得したヒト肘関節運動モデルを用いた筋電図による運動予測手法の検討
松居 和寛平井 宏明西川 敦
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2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 538

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抄録

 我々はこれまで,相反する作用を持つ筋への刺激強度を2つの変数(電気的筋拮抗比:EAA比,電気的筋拮抗和:EAA和)で表現し,それらの変数を元に機能的電気刺激(FES)を行ってきた.その中で一定のEAA和におけるヒト肘関節運動の,EAA比および外力に対する応答が,神経筋系(2次遅れ+むだ時間)+筋骨格系(2次遅れ)の形で近似モデルとして取得できることを示してきた.本研究では,このモデルを筋電図(EMG)から運動を予測しそれを提示する,というEMGバイオフィードバックに応用するために,本モデルを用いたEMGによる運動予測手法の有用性を検討することを目的とする. 対象はヒト肘関節水平面内1自由度運動で,被験者は健常成人男性1名とした.机上に示した2つのマーカー間で1秒かけて肘を伸展させる運動を,運動開始を知らせるブザーに合わせ20回行ってもらった.運動中関節角度とEMGを取得し,対象筋は上腕二頭筋,上腕三頭筋とした.これらのEMGから筋拮抗比:AA比,筋拮抗和:AA和を算出し,角度と共に20試行分を平均した.得られたAA比をモデルに入力するが,その際のAA和に対するモデルのパラメータは任意で設定し,またAA和を変数とする関数により変化するAA和に応じてパラメータを逐次変更した.モデルから出力された角度と実際に測定された角度は決定係数が0.98の精度で一致し,これまで得られたモデルを用いてEMGから運動を予測し提示できる可能性を示した.

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© 2021 社団法人日本生体医工学会
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