生体医工学
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変形性膝関節症患者を対象とした下腿回旋による装具ずれを抑制する短下肢装具の開発
勝部 剛大斉 松伊丹 琢矢野 賢一森 一大亀田 和弘
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2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 537

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抄録

変形性膝関節症(以下膝OA)は,加齢や肥満などが原因で発症する疾患で,85歳までに約2人に1人が発症すると推定されている.膝OAの多くは歩行時の痛みによる歩行障害につながり,その結果,膝OAは個人のQOL(生活の質)を低下させる大きな原因となっている.Kellgren-Lawrence分類のグレードII~IIIに分類される膝OAの主な特徴として,O脚やX脚といった膝関節のアライメントの異常が挙げられる.アライメントの異常は,疼痛の要因となるとともに,関節に多大な負荷を与えることになるため,症状のさらなる悪化につながる.また,歩行中の膝の回旋運動障害やラテラルスラストも代表的な特徴である.これまで著者らは,膝OAの回旋運動障害に着目し,足関節の動きに連動して下肢の回旋運動を機械的に誘導する足関節装具を開発してきた.この装具を使用すれば,支柱からの矯正力により,膝関節のアライメント補正を効果的に行うことが可能である.しかしながら,歩行中に装具と生体間にずれが生じることがあり,補正力減少の要因の一つとなっていた.そこで本研究では,装具と生体間のずれが装具の補正力に及ぼす影響を明らかにするとともに,装具ずれを抑制し,補正力の減少を低減するための下腿追従機構を開発した.結果として,歩行実験により提案機構の有効性を示した.

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© 2021 社団法人日本生体医工学会
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