生体医工学
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ウェアラブル心拍センサを用いたうつ状態の心拍変動と活動量
小松 陽子古賀 賀恵篠崎 亮清水 祐輔功刀 浩
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2021 年 Annual59 巻 Proc 号 p. 632-634

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抄録

"加速度計と心拍計を備えたウェアラブル心拍センサを装着すれば、加速度から活動量や睡眠時間帯を推定することができ、R-R間隔から自律神経系活動の指標を求めることができる。うつ状態では活動量の低下や自律神経不全などを伴うことが報告されているため、ウェアラブル心拍センサを用いたうつ状態の客観的な評価が診断や経過判定等の支援に役立つことに期待が寄せられている。本研究では、ハミルトンうつ病評価尺度8点以上の気分障害患者53名(平均年齢39±12歳、双極性障害19, 大うつ病性障害34)と健常者58名(平均年齢36±12歳)を対象として、15時~連続3日間、ウェアラブル心拍センサ(myBeat WHS-1、ユニオンツール(株))を前胸部に装着させ、R-R間隔と加速度を測定した。加速度から推定した覚醒時間帯、睡眠時間帯ごとの心拍変動値、活動量をMann-Whitney 検定を用いて比較した。健常者群と比較して患者群は、どちらの時間帯もR-R間隔が短かく、睡眠時間帯において副交感神経系活動指標であるHFは抑制されていた。患者群の覚醒時間帯の活動量は小さかった。以上から、ウェアラブル心拍センサを用いて測定された覚醒時間帯、睡眠時間帯ごとの心拍変動や活動量が診断や経過判定のための客観的指標となる可能性が示唆された。本研究は国立精神神経医療研究センター倫理委員会の承認を得て行われ、被験者の研究参加に際しては書面での同意を得た。"

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© 2021 社団法人日本生体医工学会
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