生体医工学
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脳磁図で発作間欠期の鋭一過性波のみ認めた症例での転帰についての検討
河村 祐貴岡田 直山田 大輔光野 優人松橋 眞生高橋 良輔池田 昭夫
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2021 年 Annual59 巻 Proc 号 p. 629-631

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抄録

背景:難治性てんかんでは脳磁図で棘波をもとに電流源双極子を推定することが一般的である。その一方で棘波を認めず鋭一過波のみであった報告例は乏しい。目的:脳磁図で発作間欠期の鋭一過波のみ認めた例で他の検査結果、転帰との関連をあきらかにする。方法:2015年から5年間に術前評価目的に脳磁図を施行したうち、棘波を認めず鋭一過波のみであった15例(男:女7:8、平均年齢29.0歳)のビデオ脳波モニタリング、頭部MRI、PET、手術の有無、直近の発作の有無を後方視的に調べた。脳磁図は306チャンネル全頭型脳磁計 Neuromag Systemを用い、発作間欠期60分以上記録した。結果:脳磁図施行時の臨床診断は、前頭葉てんかん3例、側頭葉てんかん11例、その他1例であった。6例で鋭一過波の双極子が集簇した。そのうち4例で画像上病変を認め、3例でその病変近傍に双極子が求まった。非集簇例では、全例で画像上病変を認め、1例で病変近傍に双極子が求まった。集簇4例と非集簇5例で画像病変を含んだ切除術が行われ、全例で発作が消失した。結論:MEGの鋭一過波に基づく焦点検索は特異度が棘波に劣ると考えられるが、画像など他の検査手法と組み合わせることで良好な治療成績を期待できる。

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© 2021 社団法人日本生体医工学会
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