生体医工学
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視覚誘発信号計測による磁界バイアス式脳機能計測システムの有効性の検証
松永 諒樋脇 治
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2021 年 Annual59 巻 Proc 号 p. 655-656

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抄録

我々は、これまで、頭皮上に置いたコイルにより静磁界を脳に透過させ脳活動に伴い変動する磁界を計測する方式の磁界バイアス式脳機能計測技術を開発した。本技術により体性感覚誘発信号計測を行うことにより、はやい脳信号が高い空間分解能で計測できることを実証した。本研究では、視覚誘発信号の計測を行ない本技術の有効性について検討した。磁界バイアス式脳機能計測技術を用いて視覚誘発信号を計測するためのシステムを開発した。コイルを外後頭部隆起(Inion)の50mm上の点(MO)から15mmの間隔で左右各2列、上方3列、下方2列の範囲の縦6列横5列の30点にコイルを配置し、各コイルの上端に設置した磁界センサにより、30チャネルの磁界信号を計測するシステムを構築した。視覚刺激として白黒格子パターン反転刺激を行なった。刺激視野の視角は44.3°(横)×27.3°(縦)、各格子の大きさ0.81°刺激間隔1秒で視覚刺激を行った。被験者には単眼で画像の中心を注視するよう指示し、300回の加算平均により視覚誘発信号を計測した。その結果、MOの上方15mmの位置(MA15)に刺激後250msに最も大きな振幅の信号が局所的に観察された。MA15の位置は、第一次視覚野近傍の頭皮上の位置であり、磁界バイアス式脳機能計測技術によりはやい視覚誘発信号が高い空間精度で計測可能であることが実証された。 

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© 2021 社団法人日本生体医工学会
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