生体医工学
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振動測定に基づく補助循環療法中に発生する異常発見に関する検討
武笠 聡輝奥 知子山内 忍本橋 由香佐藤 敏夫
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2021 年 Annual59 巻 Proc 号 p. 705-706

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抄録

PCPS(percutaneous cardio pulmonary support)やECMO(extracorporeal membrane oxygenation)に代表される補助循環療法では、回路内での凝血、カニューレトラブル、遠心ポンプの異常などが発生する場合がある。本研究は補助循環療法中に発生する異常発見を目的とし、その基礎検討として工業設備診断に活用されている振動測定を応用して、補助循環回路の血液ポンプに使用される遠心ポンプヘッドの振動測定を試みた。初めに2種類の遠心ポンプヘッドを用意し、循環回路を作成した。次に遠心ポンプヘッドに振動センサを固定し、回転数を500~3000rpmまで500rpm毎に設定して、水を循環回路内に循環し、振動量を測定した。最後に振動量を分析し、2種類の遠心ポンプヘッドによる違いを比較した。各ポンプヘッドの回転数における振動量の平均値を算出した結果をみると、2種類のポンプヘッド間で平均値に違いが見られ、また回転数の上昇に伴って振動量が大きくなることが分かった。臨床現場では、異音の聴取やポンプヘッドに触れることにより異常を定性的に判断している。ポンプヘッドに異常が発生した場合、振動が変化することが考えられる。今後の課題として、空気の混入や血液凝固など、異常を模擬した状態における振動測定を行い、異常を定量的に判断できるかどうか検討を行う予定である。

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© 2021 社団法人日本生体医工学会
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