2021 年 Annual59 巻 Proc 号 p. 710-712
医用テレメータを安心かつ安全に運用するためには、電波環境の管理が極めて重要と言える。具体的には自施設内におけるチャネルの管理のみならず、近年では、他施設からの電波受信や、LED照明由来の電磁ノイズなどとの電磁干渉も問題となっている。電波環境の把握のためには、一般にスペクトラムアナライザが用いられることが多い。しかし、スペクトラムアナライザは一般的に高価であり、またマルチメータや各種の医療機器用チェッカなどと比較すると、その使用頻度も高いとは言えない。さらに、スペクトラムアナライザの使用にあたっては、電波工学や通信工学などの専門的な知識が必要となるため、医療従事者が使用するためにはハードルが高いと考えられる。故に、医療機関が独自にスペクトラムアナライザを導入することは比較的容易ではないと考えられる。従って、安価でかつ医療従事者でも簡便に電波環境を測定可能な手法の確立が望まれる。 そこで、医療機関でも容易に導入が可能な手法として、「医用テレメータの簡易スペクトラムアナライザ機能を用いた測定方法」および「ソフトウェア無線を用いた電波環境測定・評価方法」を提案する。本講演においては、これらの概要を解説するとともに、測定器としての精度を評価した結果についても報告する。また、これらを実際の医療現場で用いる際の注意点についても述べる。