生体医工学
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光ポンピング磁気センサを用いた超低磁場MRIの開発:受信周波数特性のシミュレーションよる検討
堀 壮吾笈田 武範小林 哲生
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2021 年 Annual59 巻 Proc 号 p. 840-842

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抄録

超低磁場MRIは、従来の高磁場MRIと比べて装置の小型化や低コスト化が可能であるとして研究が進められている。超低磁場MRIは共鳴周波数やバンド幅などが低くなるため、受信システムも周波数応答を鑑みて選択する必要がある。光ポンピング磁気センサ(OPM)は低周波での磁場検出感度に優れているため、超低磁場MRIに適していると考えられるが、その性能に関して詳細に検討された研究は少ない。そこで本研究では、シミュレーションにより、従来の誘導コイルによる検出方法とOPMを用いた検出方法の周波数特性を考慮した比較・検討を行うことを目的とする。本研究では、Bloch方程式の解析解を組み込んだMRIシミュレータを作成し、上記の受信システムの伝達関数を実装した。誘導コイルは並列共振で信号増幅を行い、OPMはフラックストランスフォーマ(FT)を用いて信号の遠隔計測を行うと仮定した。再構成画像の評価指標として、元画像との構造類似度を表すSSIMと、信号雑音比SNRを使用した。再構成画像による評価により、OPMシステムは低周波帯(<数10 kHz)では誘導コイルシステムよりSNRが高く、数100 kHzでは誘導コイルシステムと同程度のSNRであることが分かった。また、OPMシステムは少ないコイル巻き数でもSNRが高いことが分かった。今後は、実験によってシミュレーション結果の実証を行う予定である。

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© 2021 社団法人日本生体医工学会
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