生体医工学
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スピンロックシーケンスを用いたMRIによる脳神経磁場計測:雑音磁場が及ぼす影響に関する検討
遠藤 紘矢上田 博之伊藤 陽介小林 哲生
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2021 年 Annual59 巻 Proc 号 p. 849-851

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抄録

【背景・目的】MRIにより非侵襲的に脳機能計測を行うfMRIにおいて最も一般的な計測原理であるBOLD法は血行動態に基づく間接的な計測であるため、時間分解能が脳波や脳磁界計測に比べ劣る。近年、新たな手法として脳神経活動に伴うMR信号の低下を直接計測することの可能なスピンロックシーケンスの一つであるSIRS法が提案され時間分解能の改善が見込まれる。ここで、実際にヒトの脳神経磁場を測定する際に、脳から発生している雑音となる背景磁場を考慮する必要がある。そこで、本研究ではこの雑音が画像に及ぼす影響を調べることを目的とした。【方法】雑音磁場の撮像結果に及ぼす影響を調べるため,ヒトの脳及びファントムをSIRSにより撮像し,信号値のばらつきを評価した。両者のばらつきの差がガウスノイズと仮定した磁場に由来しているとしてシミュレーションを行い,その仮定を検証した。【結果・検討】ヒト脳とファントムから得られた画像の信号変化率のデータのばらつきには有意な差が確認された。しかし,シミュレーションに用いたガウスノイズでは,ヒト脳を撮像した画像におけるばらつきを再現することはできなかった。よって背景磁場はガウスノイズと仮定できず、今後さらに自発律動によって発生する磁場を想定した検討を行う予定である。また、磁化率効果や頭部の動きなどの影響についても検討し,SIRSによるfMRIの実現を目指す。

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© 2021 社団法人日本生体医工学会
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