生体医工学
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熟練/若手保育士間に生じる暗黙知可視化のためのデータベース構築と解析
久保田 知恵上村 伸夫笠松 幸香東山 さとり岸本 美保来栖 宏二川端 茂徳荒船 龍彦
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2022 年 Annual60 巻 Abstract 号 p. 190_1

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抄録

保育施設において,園児の様子や体調・発育の記録は手書きで行われることが慣例であり,保育士の業務負担の一因となっている.近年,ICTを用いた保育業務を支援するシステムを導入する施設が増加しているが,既存システムの機能は現状の保育業務のデジタル化に留まり,保育士の業務負担の根本的な改善には十分ではない.また熟練/若手保育士間の保育業務における暗黙知の存在が,負担の要因の1つであり,この言語化が業務改善に必要である.上記課題解決のため,園児の記録を蓄積する,保育データベース構築のためのIoTシステム開発を目的とする.開発するシステムにおいて,保育士がスマートフォン経由で入力する保育記録の自由記入項目から,熟練と若手保育士との間に生じる園児の気持ちや成長に着眼点を置いた視点の差を半自動で抽出するソフトウェアをpythonの自然言語解析ライブラリを用いて開発した.開発したシステムの評価手法として,まず,熟練と若手の保育士による園児のインシデントについて1~2分話した音声データを47件収集し,テキストファイルに書き起こし,解析用のデータとした.開発したソフトウェアを用いて暗黙知につながる単語抽出を行った.その結果,熟練と若手の間では保育される園児側の立場に立った単語の発露に差があることが明らかとなったので報告する.

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© 2022 社団法人日本生体医工学会
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