生体医工学
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査読の意義と査読者の役割
横澤 宏一
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2022 年 Annual60 巻 Abstract 号 p. 68_2

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抄録

本講演では、学術論文や論文誌における査読のもつ意味と、査読者や編集者の果たすべき役割についてお話ししたい。必ずしも正解があるわけではないので、できる限り会場で出席者と議論したい。特に若い研究者にとって、査読者は論文の掲載を阻む障壁であるかのような印象を受ける。しかし、論文は厳しい査読を経て初めて公表に耐えうる完成度になることが多く、 査読は論文の質を担保する上で欠かせないプロセスである。その意味で、論文の完成は著者と査読者、編集者の共同作業でもある。査読者には著者が見落としている観点での指摘や、論文の質を向上させるための建設的で具体的なコメントをお願いしたい。査読によって掲載論文の質を担保することは論文誌の質を保証することになる。査読者の考え方は時に様々なので、査読コメントを整理、補完し、最終的に採否を決める編集者の役割も極めて重要である。 競争的資金などの審査を担当して多くの申請書を比べて読む機会があると、採択される申請書がどういうものか自然と理解できるようになる。査読を担当することは、自分の関連分野の最新の研究成果を誰よりも早く知ることができるだけでなく、論文の書き方を理解する上でも有用である。

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© 2022 社団法人日本生体医工学会
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