生体医工学
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経皮電力伝送用Double-LCC方式補償回路の最適設計-送電コイルに流れる電流による放射性妨害波の抑制とSS方式補償回路との比較-
前川 七奈柴 建次
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2022 年 Annual60 巻 Proc 号 p. 331-333

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抄録

従来の有線での体内埋込型補助人工心臓(VAD: Ventricular Assist Device)への電力伝送では感染症の危険性やQOLの低下等の様々な問題があるため,経皮電力伝送システム(TETS: Transcutaneous Energy Transmission System)が研究・開発されている.しかし,TETS動作時に生じる放射性妨害波が国際規格であるCISPR11(Group2,ClassB)を上回っているため,周辺の機器が誤作動を起こす可能性があり抑制が必要である.そこで本稿では,放射性妨害波を抑制するために従来とは異なる経皮電力伝送用のDouble-LCC方式補償回路を試作した.また,比較のため同じ送電コイルL1と受電コイルL2とを用いて,従来のSS方式補償回路も試作した.これらを用いたTETSで送電コイルに流れる電流IL1と放射磁界Hを測定したところ,Double-LCC方式補償回路ではどちらもSS方式補償回路の約2.1倍の抑制効果が得られた.したがって,放射性妨害波の抑制に適しているのはDouble-LCC方式補償回路だと考えられる.今後は,出力電圧V2を変化させるなどして放射性妨害波の更なる抑制を考えている.

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© 2022 社団法人日本生体医工学会
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