生体医工学
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ラット用円筒型外部灌流型人工肺の中空糸束形状に関する検討
内山 駿佑住倉 博仁藤井 豊本間 章彦
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2023 年 Annual61 巻 Abstract 号 p. 206_1

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抄録

体外循環による炎症反応等の影響を評価するため,内部灌流型人工肺を用いたラット体外循環実験による評価が行われている.現在ヒトを対象とした体外循環に使用される人工肺は外部灌流型人工肺が主であることから,ラット体外循環実験に外部灌流型人工肺を用いることで,更なる体外循環の模擬が可能になると考えられる.本研究では,ラット体外循環実験に適用可能な円筒型外部灌流型人工肺の開発を目的とした.今回,中空糸充填率,中空糸有効膜面積,血液充填量を同等とし,中空糸束の直径と全長をそれぞれ10mm径50mm長と12mm径35mm長とした2種類の人工肺について,数値流体解析と実機による評価を行った.数値流体解析は,人工肺の中空糸束を多孔質領域とみなし,抵抗値を設定した.更に,設計した2種類の人工肺を試作し,水実験により圧力損失を測定することで,解析結果との比較・検討を行った.全ての人工肺は,解析値と測定値共に,流量の増加に伴い圧力損失の増加が確認された.また,全ての流量において12mm径35mm長人工肺の圧力損失は10mm径50mm長人工肺を下回った.これは中空糸束の径の増加と全長の低下によるものと考えられた.圧力損失について,水実験の測定値は解析値と同等であったことから,数値流体解析の有用性が示唆された.今後は血液実験にて試作した人工肺のガス交換能を評価することで,ラット用外部灌流型人工肺に適切な中空糸束形状について検討を行う予定である.

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© 2023 社団法人日本生体医工学会
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