2023 年 Annual61 巻 Abstract 号 p. 226_1
一人暮らしの高齢者の健康状態や生活情報を見守るシステムが数多く開発されているが,未だ十分に普及されているとは言えない.私たちは高齢者のテレビ使用や室内の明暗状態によって,遠隔から在宅での生活を見守るPCを基にしたシステムを開発し,10年以上に亘って運用してきた.しかし,このシステムは定期的なメンテナンスとウイルス対策環境が必要なため,運用の継続が困難となった.そこでメンテナンスの手間をなくし,小型化を目指した新システムを開発した.新システムは液晶ディスプレイ付きのマイコン,センサユニット,無料のクラウド型データベースによって構成される.センサユニットはテレビの使用状態,赤外線リモコンの使用,室内の明暗状態,照明器具の使用の4ビット情報を検知する.センサが計測した高齢者側の生活状態はマイコンによって読み取られ,データベースを経由して家族側に送信し記録される.家族側では,高齢者側の生活状態がマイコンの液晶ディスプレイに常に表示される.同様に家族側の生活状態も高齢者側に送信し,表示される.新システムはメンテナンスの手間を省き,サイズも従来の1割程度に縮小された.1週間の動作試験では,赤外線リモコンの指向性の問題により1度誤反応が発生したが,他のセンサは問題なく動作した.現在は3名の高齢者とそれぞれの家族宅に設置しており,生活状態の計測とデータの送受信が旧システムと同様に行えることを確認した.