生体医工学
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筋音図と筋電図の同時計測に基づく嚥下機能評価デバイスの開発
福原 真一池野 雅裕岡 久雄
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2023 年 Annual61 巻 Abstract 号 p. 294_2

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抄録

嚥下機能評価は専門家によるスクリーニング検査や侵襲を伴う検査による臨床的なアプローチにとどまっており、一般的なフィールドで容易に実施することは困難であった。本研究の目的は、顎下領域で同時計測される筋音図と筋電図の複合的なアプローチに基づいた新たな嚥下関連筋の機能評価システムを開発することである。開発したデバイスは、顎下領域の舌骨上筋群に取り付ける筋音/筋電計測センサと信号処理部がセパレート式の仕様となっている。センサ部は舌骨上筋群の筋走行に合わせて装着でき、筋電電極に挟まれるように筋音図センサが配置されている。また、被験者の上腕部に信号処理部を固定できるようセンサ部との配線に余裕を持たしている。信号処理部は各種端末と専用のソフトを用いて制御される。本デバイスを舌挙上時および飲水時に適応し、筋音/筋電信号を同時計測した。舌挙上時の収縮強度の増加とともに筋電図は漸増したが、筋音図は60%の収縮強度でピークを示し、その後平坦化した。また、5秒毎に飲水したときの筋電図と筋音図の計測によって、嚥下時の筋の電気的活動および機械的な変動を検出することが可能となった。これらの結果から、新たに開発された筋音/筋電同時測定デバイスは、嚥下機能のための計測・評価ツールとなる可能性が示唆された。

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© 2023 社団法人日本生体医工学会
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