生体医工学
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ハイパースペクトラルデータと3D u-netを用いたメラノーマ病変部抽出
北畠 直人飛塚 丈輝正木 達也花崎 和寿張 維倫永岡 隆
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2023 年 Annual61 巻 Abstract 号 p. 295_2

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抄録

メラノーマは、悪性度の高い皮膚がんである。初期病変は良性病変との区別が非常に難しい。そのため、精度が高く定量的な診断手法に対するニーズは強い。これまでにも、メラノーマの診断支援を目的としたシステムが多く開発されている。また、これまでの知見から、皮膚色素性病変画像から病変部を抽出すると、診断性能が向上することが分かっている。本研究では、多波長分光装置の一種であるHyperspectral Imager(HSI)によって撮影された皮膚色素病変データを対象とする。HSIによって計測されるHyperspectral Data(HSD)は高さ×幅×波長の3次元データ構造を持つため、一般的なセグメンテーションモデルであるu-netをそのまま使用することはできない。そこで、u-netを3次元に拡張した3D u-netを採用し、病変部の抽出を試みる。国内と北欧で撮影された234例のメラノーマと285例の非メラノーマのHSDと、皮膚科専門医による病変抽出画像を対象とする。HSDの取得は倫理審査委員会の承認を得たプロトコールに従って実施された。3D u-netによる抽出結果を解析した結果、jaccard係数0.613、F1スコア0.714が得られた。今後は、HSDに正規化や標準化などの前処理を施すことや、Googleによって開発されたセグメンテーションモデルであるDeeplab v3+の採用や、2次元画像を入力としたu-netとの比較などを行う予定である。

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© 2023 社団法人日本生体医工学会
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