生体医工学
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生体-人工物の融合を通じて高いQOLを実現する持続可能な社会・生態系のための革新的生体医工学の創成
佐久間 一郎
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2023 年 Annual61 巻 Abstract 号 p. 82_1

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抄録

日本生体医工学会ME研究推進委員会では,2022年に日本学術会議が募集した,「未来の学術振興構想」の策定に向けた「学術の中長期研究戦略」の公募に対応するため,審議を重ね,「生体-人工物の融合を通じて高いQOLを実現する持続可能な社会・生態系のための革新的生体医工学の創成」とする提案をまとめた。

 本提案では我が国が直面する少子高齢社会における課題解決に貢献することを目的に,QOLの高い状態を生涯にわたり維持し,社会参加を可能とする技術開発の基盤となる基礎学理の構築と,医療、福祉、健康、介護、創薬、スポーツ、リハビリテーション等における新技術の研究開発を実施する必要性を指摘した。本課題に対し,生体が本来備える回復機能を高めるために,環境から与えられる刺激の制御や,治療介入を通じてその回復機能~レジリエンス~を強化するための,学理の構築と生体計測制御技術の開発推進を提案した。具体的には,(1)生活習慣病,(2)認知症,統合失調症などの脳・認知活動に関わる疾患,(3)がんを対象に,①ストレスの検出とその制御,②有効性を維持しつつ薬物による介入,放射線治療,外科治療の介入を低用量化するため治療制御技術,③こらを実現するための体内埋め込み型医療デバイス,遠隔モニタリング,制御技術の開発,そして生命倫理に関する研究推進の必要性を提言した。本シンポジウムでは議論の概要を紹介し,会員諸氏との議論を深めたい。

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© 2023 社団法人日本生体医工学会
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