2025 年 31 巻 p. 25-30
海洋におけるマイクロプラスチック(MP)汚染が深刻化しており,その主要な供給源の一つとして河川が注目されている.河川でのMPの流出を抑制するためには,MPの輸送・堆積メカニズムを解明し,効率的な回収手法を確立することが求められる.本研究では,実河川中の砂州から採取した砂の中にあるMP量を調査し,河川内におけるMPの挙動と環境要因がその堆積に与える影響を考察した.その結果,水位や風速などの環境要因がMPの動態に大きく影響することが明らかとなった.大規模洪水後にはMPが低標高の地域に集中し,中小洪水では砂州前縁部に堆積が見られた.また,風が強い場合,MPの拡散範囲が広がる傾向があった.これらの結果は,河川におけるMPの挙動を理解し,効果的な回収策を検討する上で重要な知見を提供する.