2023 年 Annual61 巻 Abstract 号 p. 94_2
2019年当時の、無症状、軽症である新型コロナウイルス感染患者を在宅で管理する際における最大の問題は、呼吸状態などの病状の急変がおこりうることであった。コロナPCR陽性で自宅待機中に容体急変で死亡する症例も発生した。患者を在宅医療で管理する場合の呼吸音の「聴診」の遠隔管理に注目した。ウイルス性の間質性肺炎の進行に伴い、肺胞が壊れ、肺の捻髪音が増加することに注目し、この呼吸音を遠隔管理できる聴診音解析システムを着想した。自身の医工連携の活動の中で、Team In KYOTOと名付けた異業種企業の連携勉強会を主催している。「ちえづくり」を大切にし、そのうえで課題を解決するモノづくりを企業と話し合う場で、新型コロナウイルスが猛威を振るう中、討論を重ねた。音を可視化するアイデアを基に練り上げた「ウイルス性肺炎急性増悪の早期検出のための呼吸音変化AI解析による在宅管理システムの研究開発」は、2020年10月の京都府コロナ社会対応ビジネスモデル創造事業補助金に採択された。第1次試作機は、2021年2月に完成し、スマートフォン連動のコイン電池式20グラムの貼付式である。
医師の働き方改革が2024年から始まる。同時に医療職全体の働き方も大きく変革せざるおえない。体温と心電図も同時記録できる聴診音解析システムを活用した医療DXによって、効率的な看護を改革する「看護力」の実現につなげたい。