2024 年 Annual62 巻 Abstract 号 p. 104_2
観光地などで、3D映像を視聴したり、仮想現実(VR)を用いた疑似体験をしたり、拡張現実(AR)による案内など、3D映像を用いた様々な利活用が行われている。一方で、3D映像視認時に生じる酔いについては、未解決のまま残っており、先行研究においても、3D映像視聴時が生体に及ぼす影響が報告されている。しかし、それらの先行研究の多くは心電図や脳波など、一種類あるいは二種類の生体信号を計測している。そのため、視線運動や心電図、脳波や重心動揺といった複数種の生体信号の同時計測を行い、複合的に検討している例は多くない。そこで、暗室における2Dおよび3D映像視聴が生体に及ぼす影響について、複数種の生体信号計測による基礎的検討を目的として、研究を行った。本研究では、若年男性を対象に、2Dおよび3D映像を周辺視認または中心視認の方法で60秒間視認させ、この間連続して視線運動、脳波、心電図、脳波、重心動揺の計測を行った。また、視認映像と視認方法の組み合わせについては順序効果を考慮しランダムな順番で行い、すべての映像視認が終了した後SSQにて酔いの心理的評価を行った。これらの解析結果から、3D周辺視認が最も酔いやすいことが示唆された。一方で、追従視認ではリラックス度が高いため、3D映像視聴時の酔いを軽減できる可能性が示唆された。