生体医工学
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定量的に血圧を調節するために
重見 研司白石 貴大山﨑 裕紀子次田 佳代小山 幸夫松木 悠佳
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2024 年 Annual62 巻 Abstract 号 p. 121_2

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抄録

血圧(Pm)は、オームの法則を用いて、心拍出量(CO)と総末梢血管抵抗値の積で表され、COは、スターリングの心機能曲線とガイトンの静脈還流曲線の交点で求められる。COは、1回拍出量(SV)と心拍数の積で示され、SVは、左室の前負荷と後負荷および心収縮能の関係から定まる。以上の関係は、概念として重要で臨床的にも有用であるが、相互に関係を持ち、定量的に血圧を表せなかった。一方、左室の圧容量関係を示すループの左室収縮末期を示す点は、左室収縮能を表す収縮末期エラスタンス(Ees)と、後負荷を表す実効大動脈エラスタンス(Ea)の2直線の交点であるが、この点は、下記の式1のように簡単な一次式で表すことができ(Vedは左室拡張末期容量を表す)、左室のアンストレストボリューム(V0)をゼロとし、収縮末期圧(Pes)をPmと近似すると、式2のように血圧を定量的に示せる。そこで、心電図と動脈圧波計に心音図を加えてEes/Eaを近似して求め、SVを非侵襲的に近似して、この3因子のモニタを試みた。この3因子は、従来の解析方法を単純に説明し、たとえば、低血圧の原因を迅速に鑑別し、定量的に対処できることが期待されるが、近似を多用したので、適応の限界を定める必要がある。

Pes = (Ved - V0) / ((1 / Ees) + (1 / Ea)) (式1)

Pm = Ved / ((1 / Ees) + (1 / Ea)) (式2)

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© 2024 社団法人日本生体医工学会
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