2024 年 Annual62 巻 Abstract 号 p. 159_2
鹿児島に着任して9年となるが、この間県内3施設の重症心身障碍者施設に医局員を定期的な診療に派遣し、手術介入が必要な患者の診療にあたってきた。手術内容としては経口摂取障害に対する腹腔鏡下胃瘻造設術、逆流性食道炎に対する腹腔鏡下噴門形成術、誤嚥性肺炎に対する気管切開術・喉頭気管分離術、血管ルート確保困難に対する埋め込み型カテーテル留置術などが主なものである。これらの患者は年齢も比較的高くある程度症状や症候が固定しており、手術介入により一定の治療効果が得られ、安定した療養生活を送ることが可能となる。一方施設ではなく在宅での養育・療養生活を送っている医療的ケア児は成長過程にあることが多く、心身の成長に伴い症状も変化し、必要な手術や治療が年齢や体格によって異なってくる場合も多い。また在宅の場合は医療者ではなく家族が主にそのケアを行うため、その背景や環境に応じた治療や手術を選択することが重要となってくる。本邦は欧米に比較してこのあたりのサポート体制は不十分であり、今後はICT/IOTを活用した医工学からみた研究やその成果の社会実装が求められる。