生体医工学
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血液透析治療終了後の異なる消毒方法における細菌由来DNAの検出に関する検討
村田 有未中村 実横山 徹古谷 大輔印藤 智一横田 伸一
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2024 年 Annual62 巻 Abstract 号 p. 165_1

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抄録

【緒言】透析液の清浄化を達成するため,血液透析治療終了時には様々な消毒が行われているが,消毒後の細菌由来DNA (bDNA)が透析患者の炎症反応を助長するとの報告がある.一方,消毒後におけるbDNAの検出に関する報告は少ない.そこで,本報告は,次亜塩素酸ナトリウム消毒および熱水消毒後に検出されるbDNA量を比較検証した.

【方法】緑膿菌を用いて生菌数101~108 CFU/mLの細菌懸濁液を作製し,次亜塩素酸ナトリウム消毒(800 ppm,30分)および熱水消毒(99℃,15分)を行なった.そして,消毒後の検体から2本鎖DNAおよび1本鎖DNAをQubit(Thermo Fisher Scientific)した.

【結果】消毒後からは,次亜塩素酸ナトリウム消毒よりも熱水消毒で有意に多くのbDNAが検出された (P<0.01).また,bDNAは2本鎖DNAよりも1本鎖DNAの方が有意に多かった(P<0.01).一方,次亜塩素酸ナトリウム消毒では107 CFU/mL以下,熱水消毒では105 CFU/mL以下でbDNAが検出感度(5 ng/mL)以下となった.

【考察】熱水消毒で有意に多くのbDNAが検出されたのは,次亜塩素酸ナトリウムでは有機物分解作用によって減少したのに対し,DNAは熱に安定であるため,熱水消毒では減少しなかったと推察した.よって,bDNAの減少には次亜塩素酸ナトリウム消毒が有効であることが示唆された.

【結語】次亜塩素酸ナトリウム消毒は熱水消毒よりも消毒後のbDNAを有意に減少させた.

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© 2024 社団法人日本生体医工学会
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