2024 年 Annual62 巻 Abstract 号 p. 165_2
【緒言】これまで熱水消毒前後における透析液ライン内の金属腐食と細菌汚染(生菌数)に関する検討を行ってきたが,エンドトキシン活性値(以下ET値)の解析には至っていなかった.そこで,透析液ライン内の金属腐食の有無が熱水消毒前後での生菌数およびET値にいかなる影響を与えるかを比較検証したので報告する.
【方法】緑膿菌の最終菌濃度を約10 CFU/mLに調整した汚染透析液を新品ならびに金属腐食ポンプで25分間循環させ,32℃で12時間放置し汚染させた.その後,熱水消毒(95℃,15分)を行った.その後,熱水消毒前後でポンプ後の末端透析液を採取し生菌数とET値を測定した.
【結果】熱水消毒前の末端透析液中の生菌数は,新品で11.22±8.58 CFU/mL,金属腐食で29.23±29.50 CFU/mLとなり有意に多かった(n=12, P<0.05).また,ET値に有意差はなく新品で0.091±0.125 EU/μL,金属腐食で 0.211±0.241 EU/μLであった.一方,熱水消毒後で生菌は検出されず,ET値は新品で0.368±0.717 EU/μL ,金属腐食で0.063±0.085 EU/μLであった.
【考察】金属腐食ポンプを使用した場合,熱水消毒前の生菌数が新品より有意に多く確認されたが,熱水消毒後で生菌数とET値は超純水透析液の管理基準以下であり透析液の安全性は担保されていた.一方,金属腐食の有無とET値,また生菌数とET値に一定の相関関係は確認できなかった.
【結語】金属腐食の有無に関わらず熱水消毒後には生物学的管理基準を担保できた.