生体医工学
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深層学習とサポートベクターマシンを⽤いた⼼電図画像解析による⼼筋線維化分類推定モデルの開発
谷口 琳川治 徹真藤原 幸一
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2024 年 Annual62 巻 Abstract 号 p. 168_2

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抄録

心筋の線維化した領域は,カテーテルを用いた電気解剖学的マッピングにおける低電位領域(LVA)と一致することが示されており,LVAは心臓内壁の総面積に対する割合(%)で表される.LVAはカテーテル治療中にしか評価できず,術前に非侵襲的には評価できない.本研究では,LVAに閾値を設定することで,心電図画像データセットのサンプルを閾値未満(0-19%)、閾値以上(20-100%)の2クラスに分割し,洞調律における心電図画像から心筋線維化を推定する2値分類モデルを作成した.三菱京都病院にてカテーテルアブレーションを施行した患者24例の術前の12誘導心電図を収集した.本研究では,Ⅱ誘導の3拍分の波形を切り出して解析対象とした.事前学習済みの畳み込みニューラルネットワーク(CNN)モデルであるVGG-19を,心血管疾患を持つ患者および健常者の4クラスからなる心電図画像オープンデータを用いてファインチューニングした.ファインチューニングしたネットワークに対象とする心電図画像を入力し,最終層の手前の層の特徴量を抽出した.抽出した特徴量を入力としてサポートベクターマシン(SVM)を使用した2値分類モデルを作成した.学習用データ16例を用いたモデルの学習,およびテストデータ8例を用いた性能評価を20回繰り返した結果,分類性能は再現率0.700±0.334,適合率0.754±0.184,正解率0.713±0.147を示した.本研究により,非侵襲的に患者の心筋繊維化の進行度を評価できる可能性が示された.

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© 2024 社団法人日本生体医工学会
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