2024 年 Annual62 巻 Abstract 号 p. 177_2
本研究の目的は電気インピーダンストモグラフィ(EIT)を用いて,回転数,トルクの調節が大腿筋導電性応答に与える影響を調べ,より効率的な筋肉トレーニングを模索することである.本実験では筋骨格系,神経系疾患のない健康な8名の男性を対象とした.まず同一仕事率のバイク運動を,高回転数低トルク(HPLT)と低回転数高トルク(LPHT)の2条件に分類した.HPLTとLPHTはいずれも5分おきに仕事率が増加する計25分のバイク運動である.さらにHPLT,LPHTのバイク運動と大腿部,臀部の筋肉を刺激する筋電気刺激(EMS)を同時に負荷するバイク+EMS運動も行った.したがって本実験では1名の被験者に対して4条件の実験を行っている.4条件の実験いずれも右大腿部のEIT測定と血中乳酸濃度測定を実験前,各仕事率のバイク運動後に行った.右大腿部を3つの筋区画に分類し,筋区画ごとの空間平均導電率変化や血中乳酸濃度変化が4条件の実験でどのように変化するかを調べた.結果として,HPLTとLPHTを比較すると,バイク運動,バイク+EMS運動いずれにおいても,P≦103[W]のとき,空間平均導電率変化がほぼ等しかった.しかしP>103[W]のとき,HPLTの方がLPHTよりも空間平均導電率変化が大きかった.また空間平均導電率変化と血中乳酸濃度変化の相関をとると,4条件いずれにおいても正の相関があることが分かった.このことから負荷の大きいバイク運動を行う場合は高回転数低トルク(HPLT)とした方が,効率的な筋肉トレーニングとなることが明らかである.