2024 年 Annual62 巻 Abstract 号 p. 187_1
医用画像から血管網構造の抽出は診断・治療において有用である.医用画像から特定の構造抽出については機械学習の有用性が示されているが,大量の教師データの作成には従来のモデルベースフィルタによる前処理と手作業による修正が欠かせない.モデルベースのアルゴリズムとしては,血管などの管構造の抽出ではヘッセ行列の固有値解析に基づいたFrangiフィルタが代表的である.しかし,血管分岐部において強調されず血管網全体を強調することはできていなかった.そこで本研究ではヘッセ行列の固有ベクトルが血管の走行方向を示すこと,および,血管分岐部は微小な面構造であることに着目し,欠損する分岐部の強調手法を考案した.シミュレーション画像による評価の結果,分岐部における輝度値およびSN比はFrangiフィルタに対して有意に向上した.また,ブタ肝臓の超音波画像を用いた定性的評価においても,分岐部周辺が強調されていることが確認された.