生体医工学
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小型マイクロ波レーダーを用いた肺炎のオーダーメイド型スクリーニングシステムの開発と臨床応用
細谷 優希齋藤 晶斗小林 剛佐藤 正平箱崎 幸也橋本 賢一松井 岳巳
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2024 年 Annual62 巻 Abstract 号 p. 193_1

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抄録

肺炎は高齢者の死亡原因の3位を占め,その早期発見は重症化予防の観点から重要である.また,終末期の高齢者は,バイタルサインの個人差が極めて大きい.本研究グループではベッドのマットレスの下に設置した小型マイクロ波レーダーを用い,バイタルサイン(呼吸数,心拍数、副交感神経活性指標(HF))の変化率を求めた.これら説明変数に加え,個人差に対応したオーダーメイド型とするためマハラノビス距離を導入し, 肺炎発症検証時間の前後4時間のデータを用いて線形判別を行うことで,肺炎の早期発見を行うシステムを開発した(Matsui.et.al.,J Infect.2020, IF=38.6).同システムには以下の課題が存在する.①正規分布を前提とする線形判別を採用②過学習の可能性③終末期患者が多い療養型病院の入院患者に限定,の3課題である.先行研究のデータにleave one out交差検証を行ったところAUCが0.44と低く過学習の恐れがあることが判明した.そこで正規分布を仮定しないロジスティック判別を採用し,より拡張性を高めるために高齢者福祉施設で取得したデータを追加し,観察期間に肺炎を発症した3名と未発症の24名に対して再学習を行ったところAUCが0.79に向上した. さらにYouden Indexを用いてROC曲線のカットオフ値を決定したところ,100%の感度と陰性的中率を達成した.

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© 2024 社団法人日本生体医工学会
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