生体医工学
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音の効果を用いたストレス軽減効果の検証
澤田 知宏島田 尊正
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2024 年 Annual62 巻 Abstract 号 p. 223_2

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抄録

 近年、ストレスの蓄積を要因とするストレス関連疾患の患者数は増加傾向にあり、厚生労働省のホームページにおいても、うつ病等の患者数が増加していることが示されている。この状況を改善するには、日ごろからストレスを軽減する、予防医学の考えが重要である。

 これまでの研究で1/fゆらぎ特性を持つ音や光は、ヒトに癒しを与えることが報告されている。

 そこで、本研究では、脈波情報からLF/HFを用いてリアルタイムでストレス測定を行いながら、ストレスレベルの上昇時に、1/fゆらぎ特性を持つ音刺激を与えることでストレスを軽減するシステムの実現を目指している。その第一段階として、1/fゆらぎ特性を持つ、ピンクノイズによるストレス軽減効果を検証した。

 実験では、内田クレペリンテストによるストレス負荷を与えた後、ピンクノイズ聴取によるストレス値の軽減効果をLF/HFと唾液アミラーゼ活性を用いて測定した。

 被験者5人に対して実験を行った結果、唾液アミラーゼ活性とLF/HFともにピンクノイズ呈示前後でストレス値に有意差は確認できなかった。このことは単にストレス負荷後に1/fゆらぎ特性の音刺激を与えても効果的なストレス軽減効果が期待できず、呈示における追加の条件が必要であることを示唆している。

今後はさらに被験者を増やしてより正確な統計解析を行うとともに、ストレス軽減のために必要な条件を明らかにしていく。

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© 2024 社団法人日本生体医工学会
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