生体医工学
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機械学習を応用した脳波による健常者・うつ病患者・双極性障害患者の判別モデル構築の予備的研究
鈴木 圭菅谷 みどり
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2024 年 Annual62 巻 Abstract 号 p. 230_2

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抄録

精神疾患の患者の人数は増加傾向にある.これらの人に対して、適切な治療をするためには適切な診断が必要であると考えられる.しかし、うつ病と双極性障害は症状が似ており診断が困難であるという課題が存在する.そのため、診断のサポートが必要であると考えられる.そこで本研究では、診断のサポートを目的として、これを実現するための機械学習を応用した脳波による判別モデルの構築手法を提案する.脳波は脳活動を反映し、その脳活動と精神疾患の関連が示唆されている.そして、この脳波を機械学習モデルに学習させることで,人の目では捉えきれない精神疾患の兆候を機械学習モデルが学習・判別し得る.提案手法は公開データセットを用いて検証した.健常者、うつ病患者、双極性障害患者の人数はそれぞれ95、199、67名である.電極は19個であり、5つの周波数帯が定義されている.これらの各人、各電極、各周波数帯における絶対パワーとコヒーレンス指標が算出され、公開されている.これらの指標だけでなく、精神疾患の判別への寄与が報告されている相対パワー、1/fに関する指標、グラフ理論を応用した指標を新たに算出・追加した.指標ごとに機械学習モデルを学習させ、その精度を比較した.その結果、絶対パワーを学習したモデルの精度が最も高精度であったが、その精度はMacro F1指標において0.4程度であった.今後は、精度改善のために、指標ごとだけでなく電極・周波数帯を考慮する.

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© 2024 社団法人日本生体医工学会
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