生体医工学
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二者同時生体計測による患者看護師間の相互作用の解析
馬場 健太堀 潤一坂井 さゆり
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2024 年 Annual62 巻 Abstract 号 p. 256_1

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抄録

看護において、触れるケアは不安やストレスの軽減、癒しの効果が期待されているが、近年は業務の機械化や効率化により患者に触れる機会は減少している。触診法による脈拍測定は無理なく患者に触れることができ、触れるケアの効果が期待できる。本研究では、触れることによる患者看護師間の相互作用を求め、触れるケアの効果を解析することを目的とした。触診法と光電脈波法による脈拍計測時の、患者・看護師両者の脳波を同時計測し、実験終了後に収集したアンケート結果とともに評価した。実験は、看護師は看護師の経験を有する健常成人女性1名で固定とし、患者役は健常成人男性5名として、複数の組み合わせで計測した。看護師は座位、患者役は仰臥位で行った。本研究では各条件下での両者の精神状態変化を評価するため、左右前頭部におけるα波パワースペクトルの左右差の時系列変化を求めた。前頭部のα波パワー値の左右差について、左が優位である場合は不快情動や回避的動機、右が優位であれば快情動や接近動機を示している。その結果、触診法と光電脈波法の両条件で、両者間に関連した変化は見られなかったが、左右でのパワー値の差とその変化が患者は小さく看護師は大きい傾向がみられ、患者は快・不快の変化が小さいこと、看護師は接近動機、回避的動機の変化が反映された。

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© 2024 社団法人日本生体医工学会
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