生体医工学
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spindle波自動検出法間の検出要因についての検討
玉元 由果莉藤江 達朗海本 浩一中村 英夫
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2024 年 Annual62 巻 Abstract 号 p. 271_2

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抄録

本研究の目的は,睡眠の質の自動解析開発を目指し,睡眠時脳波の代表的波形であるspindle波と呼ばれる特徴波形について,複数の検出方法による検出精度を評価することとする.近年,予防医学や健康維持推進の観点より,「睡眠の質」の確保への関心が高まっている.現在,睡眠評価の標準法として睡眠ポリグラフ検査(PSG)が医療機関等で実施されており,PSGでは得られた脳波や筋電図等の生体信号により,判定者が目視で睡眠段階を判断する.目視による判定は,時間と労力を費やす上,主観的な判定による判定結果の個性差が問題となる.前述の問題の解決を目指し,睡眠段階の自動判定アルゴリズムに関する報告が増している.本研究では,睡眠の質についての自動判定を目指すための基礎データとして, 3症例のPSG記録に対し,時間周波数解析法の一種であるComplex Demodulation法(CDM)を用いた自動抽出と,一般公開されている自動抽出アルゴリズムとの抽出結果の比較を実施した.また前述した2種の自動抽出を手動抽出との結果の比較も行い,それぞれの抽出方法間での不一致の要因について検討した.結果2種の自動抽出と目視抽出では,おおよそ一致しているという結果が得られたが,手動抽出については抽出数が少ないという結果となった.自動抽出では,手動抽出の際波形の揺らぎ等で検出不可能であったspindle波を検出可能となる可能性が示唆された.

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© 2024 社団法人日本生体医工学会
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