2024 年 Annual62 巻 Abstract 号 p. 276_1
骨格筋量(SMI)や骨格筋の横断面積は断層画像から計測可能であり,健康状態の定量的な把握に不可欠である.我々は,画像情報の有効活用を目的とした診断支援システム開発として,CT画像における骨格筋の部位別認識に取り組んでいる.
本研究では,体幹部CT画像における深部骨格筋である腰方形筋,大腰筋および腸骨筋の3領域を2D U-Netにより認識する.提案手法の特徴は,認識対象のそれぞれの部位別の骨格筋領域と,それ以外の領域をまとめた骨格筋領域を併用学習することである.
骨格筋の併用学習による腰方形筋,大腰筋および腸骨筋の認識精度は,それぞれ85.2%,92.2%および92.7%であった.これに対し,骨格筋の併用学習を行わない場合の認識精度は,23.4%,91.1%および89.0%であり,すべての領域で提案手法である骨格筋の併用学習による認識の精度が有意に高い(Wilcoxon, p<.05).
提案手法である骨格筋の併用学習は,骨格筋の部位別自動認識において対象部位の認識精度を高めるだけでなく,骨格筋領域全体を平均92.3%の精度で認識可能とした.提案手法は断層画像のどの断面にも描出される骨格筋を利用することを特徴とするため,FOVの異なる画像に対しても有効であると考える.今後は,本研究で対象とした深部だけでなく,表層部における骨格筋の部位別認識において,FOVに対する頑健性とともに検証を行う.