生体医工学
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心臓超音波検査におけるスキル評価モデル構築とモデルに基づく分析
関根 大毅大和 淳司三上 弾武井 康悦
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2024 年 Annual62 巻 Abstract 号 p. 282_1

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抄録

心臓超音波検査では,心臓の機能の検査を行う.検査では,超音波プローブを患者の肌に当て,得られる反射波から再構成される心臓の断面画像を用いる.技師には,適切な心断面を取得するためのプローブの操作力と断面画像から状態を読み取る力の双方が求められる.これらの技術に熟練するには約一万件の検査の経験が必要とされる.本研究は,その技術力向上の効率化を目的とする.特に,これまで定量的な計測が行われてこなかったプローブ姿勢を慣性センサで計測・分析することでプローブの操作力解明を目指す.さらに,これをベースに技術習得にかかる検査件数の減少を狙っている.そのために,今回我々は熟練者と非熟練者のプローブ操作の違いを分析した.実験は,Simpson法によるEF値計測の検査過程で実施し,プローブ姿勢変化を3軸周りの回転として計測した.分析では,熟練者と非熟練者を識別するモデルを構築し,PFIにより識別に重要な役割を果たしている特徴を調べた.その結果,モデルの予測精度に最も強い影響を与えている動きは扇子をあおぐようにスキャン面を回転させるTilingであった.更に,各軸周りの回転を正規化し,熟練者と非熟練者の間で標準偏差の比を求めた.その結果Tilingは2.14を示し,他の軸と比べて約2倍大きな値を示した.従って,技術力の上達度を測る指標としてTilingの角度変化は重要な指標になると考える.今後も,技術力の評価や上達において影響力の強い特徴の分析を進める.

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© 2024 社団法人日本生体医工学会
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