生体医工学
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鉄道の災害医療への活用を進める異分野融合チームの作り方とその運営
梅津 光生
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2024 年 Annual62 巻 Abstract 号 p. 90_2

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抄録

2023年の日本生体医工学会総会で、防災医工学という新たな専門別研究会を設立していただき、『鉄道の災害医療への活用研究会』(英文名:Research group on utilization of railways for disaster medical care) 略称:Rail DiMeC (レイルディーメック) 研究会が発足した。メンバーは、早稲田医療レギュラトリーサイエンス研究所、若手名誉教授の会(一社 スターリサーチャー)、災害医療のプロフェッショナル、稲門鉄道研究会が核となり、異分野融合チームを作り上げた。そして、緊急医療現場の良好な環境構築ための鉄道に関する革新的技術の開発、それを運用するための政策、法整備などを、関連学会と横断的連携をとりながら推進する。具体的には、被災地近くのアクセスが良好な駅を臨時の医療搬送中継ぎ拠点駅と仮に設定し、そこでトリアージ・治療・待機を行うとともに、非被災地に向かうピストン列車を仕立てれば、患者を一度に非被災地病院へ搬送でき、多数の患者の未治療死が免れる。絵に描いた餅にならぬよう、昨秋、神戸市交通局の協力を得て実証実験を実施した。そこでは、中継ぎ拠点駅からの大量の模擬患者を、鉄道を使って医療がひっ迫していない非被災地へ搬送する訓練ができ、将来に向けての強い手応えを感じた。この先は、被災地に比較的遠方のDMATなどの医療救援隊を効率よく移動させる鉄道利用法に焦点を当てる。そのために、救急車両を鉄道貨物コンテナで運搬する方法の開発、被災地への救援医療チームの鉄道移送方法の最適化を図る実験を行う計画である。

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© 2024 社団法人日本生体医工学会
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