生体医工学
Online ISSN : 1881-4379
Print ISSN : 1347-443X
ISSN-L : 1347-443X
鉄道による災害医療支援列車の実現を目指した取り組み
小峰 輝男
著者情報
ジャーナル フリー

2024 年 Annual62 巻 Abstract 号 p. 91_1

詳細
抄録

東日本大震災では鉄道で石油を被災地付近へ輸送した実績があるが、他の大地震発生時を含めて被災者や医療関係者、医療器材等の搬送は道路や空路、海路で行われており、災害医療支援活動時の輸送モードには鉄道が含まれていなかった。中等症以下の被災者であれば、鉄道の旅客列車は少人数の医療関係者で多くの被災者を近隣へ搬送できる可能性があり、また貨物列車は救急車や医療器材などのほか一般的な支援物資を少人数の乗務員で大量に遠方の非被災地から搬送することが可能である。災害医療活動の搬送手段に鉄道を加えて自動車など他の手段と連携し、より効率的な搬送を行うことで未治療被災者を減らし、災害医療活動の支援を行うことを目指している。鉄道が活用できるステージは、1非被災地の鉄道貨物駅等から医療関係者や医療器材を被災地最寄りの貨物駅等への輸送、2被災地付近の貨物駅等を医療搬送中継ぎ拠点と仮定し、トリアージ・治療・待機の実施、3被災者の非被災地へのピストン輸送、を想定している。2023年度には上記3を想定した鉄道による被災者搬送訓練や医療機材の動作確認が神戸市交通局の協力により実施された。また鉄道は大地震時に被災した情報があるが、被災地付近の健全な地点まで列車を運行することは可能である。過去の大規模災害発生時における鉄道の運行実績を基に、道路輸送との連携による輸送について検討を行い、実現に向け課題を整理した。

著者関連情報
© 2024 社団法人日本生体医工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top