2025 年 Annual63 巻 Proc 号 p. 402-404
厚生労働省のホームページにおいて、近年ストレス関連疾患の患者数が増加しており、その対策には、日常生活においてストレスを軽減する、予防医学の考えが重要であることが示されている。また、先行研究において1/fゆらぎ特性を持つ音や光にストレス軽減効果があることが報告されている。
そこで本研究では、心拍のゆらぎから得られるLF/HFを用いてストレスレベルをモニターし、ストレスが高まったタイミングで自動的に1/fゆらぎ特性を持つ音刺激(ピンクノイズ)を与えることで、ストレスを軽減する予防医学のためのフィードバックシステムの実現を目指している。しかし一般的にフィードバックシステムでは適切にフィードバックを行わなければシステムが不安定になる。本研究ではストレスを把握するためのLF/HFの適切な測定時間を明らかにするための実験を行った。最初に、被験者にストレス負荷を10分間与えた後、ピンクノイズを聴取させた。その結果、LF/HFの測定値には反映しないことが分かった。一般にLF/HFでは長時間のストレス状態を反映すると言われている。そこで次に、ストレス負荷を1時間実施して測定を行った。その結果20分間のストレス負荷からLF/HFの増減が検出でき、他のストレス計測法である唾液アミラーゼ活性値の増減とも一致することが確認できた。
今後は20分間を単位時間としてストレス軽減システムの実現を目指す。