生体医工学
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双方向長・短期記憶ネットワークによる慣性センサを用いた体重心位置推定における歩行の左右非対称の影響
舩井 直人渡邉 高志
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2025 年 Annual63 巻 Proc 号 p. 474-476

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抄録

歩行中の体重心位置は,歩行機能を評価する上で重要な指標である.近年,慣性センサを用いた体重心位置推定に関する研究が進められているが,片麻痺などの左右非対称な歩行では,特に左右方向での推定精度に課題がみられた.そこで本研究では,慣性センサから取得した3軸加速度および3軸角速度を入力とする双方向長・短期記憶(Bi-LSTM)ネットワークモデルを用いて,歩行中の体重心位置を推定する方法において,歩行の左右非対称が推定精度に影響するかを検証した.光学式モーションキャプチャと,下肢および体幹に装着した7個の慣性センサを用いて,10名の健常者で,通常歩行,片麻痺模擬歩行,高齢者模擬歩行,障害物横断歩行,低速歩行を計測したデータを用いて,Leave-one-subject-out交差検証により推定精度の評価を行った.前後方向および上下方向の成分については,片麻痺模擬歩行での重心位置推定精度は他の歩行条件と同程度であったが,左右方向成分については先行研究と同様に推定精度の低下がみられた.しかしながら、他の成分に対する左右方向成分の推定精度の低下は,先行研究の結果よりも小さかったので,今後は,左右非対称な動作における重心位置推定精度をさらに多様な歩行で検討する予定である.

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© 2025 社団法人日本生体医工学会
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