医用電子と生体工学
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電子計算機による心電図自動計測
木村 栄一赤染 悌三壬生倉 裕早川 弘一大林 完二二宮 理憙
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1965 年 3 巻 1 号 p. 29-39

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抄録
われわれの考案した心電図自動計測の特徴はつぎの点にある。
(1) 中形計算機でも取り扱えるように計算量の節約につとめ, 移動平均, 移動分散, 最小2乗法による近似直線のこう配, こう配の差などを計算することにより, 足がかりの点, 区分点, 計測点などを見出す方式を考案した。
(2) 従来報告された方式では, 心電図の一定の方法で平滑化を行なったのち, 波の識別計測にはいったがが, われわれの方式では, 比較的簡単な方法を使いわけて, 平滑化をかねつつ波の識別を行なう。このため常に8の整数倍の連続的についての計算値を用いた。
(3) 移動分散の最大値ががQRS波の中に常に存在することに着目し, この点を足がかりの点としてまずQRS波を見出した。
(4) 波の区分点や計測点を見出すため, 計算値が与えられた一定値より小さくなるか, あるいは大きくなることを目標とした。この一定値は約30個の誘導の所見から与えられたものであるが, すべての場合に適用されうるかは今後の検討にまつ。
(5) 本方式のプログラムは複雑で, かつ長いが, 計算量ははるかに少なく, 演算時間を短縮しうる。
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© 日本生体医工学会
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