2016 年 65 巻 4 号 p. 453-458
症例は70歳代,男性。甲状腺機能低下症,高血圧,慢性閉塞性肺疾患,高尿酸血症にて他院外来治療中に血小板減少を認め,当院血液内科紹介受診となった。骨髄検査において中~大型でN/C比大,細胞質は好塩基性であり,核クロマチンは網状,時に核異型があり,明瞭な核小体を有する異常細胞を33%認めた。免疫グロブリンH鎖JH再構成を認めたこと,病理診断よりびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の診断に至った。骨髄中の異常細胞は芽球様の形態をしていた。また,背景には血球貪食マクロファージを多数認めた。骨髄血のフローサイトメトリー解析の結果では,CD1a,CD2,CD3,CD7,CD8,CD10,CD11b,CD13,CD14,CD25,CD33,CD34,CD41,CD56は陰性,CD4,CD5,CD19,CD20,CD36,CD38,HLA-DRは陽性,表面免疫グロブリンマーカーでは,IgG,IgA,IgM,IgD,κ,λは全て陰性であった。現在,R-CHOP療法を行っており,寛解を維持している状態である。DLBCLにT細胞系の表面マーカーが発現することは稀であるが,中でもCD4陽性の報告例は少ない。今回,CD4陽性DLBCLの稀な症例を経験したので,文献的考察を加えて報告する。