抄録
塩ビ系壁紙廃材は塩ビ樹脂に炭酸カルシウムおよび二酸化チタンなどを配合し、紙に塗布した複合製品で、リサイクル困難物である。この廃材の破砕品を窒素雰囲気下600℃で熱処理して得た炭化物について、諸特性を調査してきた。
水浄化に炭素繊維が有効で、鉄との組み合わせで汚染水の処理の浄化効果が確認されている。そこで、上記の炭化物と鉄粉を廃水に添加し、各種廃水処理を検討した。その結果、短時間でCODは50%、T-Nは70%の除去率を示し、市販の活性炭と比較して遜色ない性能であった。また、T-Pにおいては鉄イオンの影響で非常に高い除去率を示した。この炭化物単独でのCOD除去率は非常に小さいにもかかわらず、鉄粉と混合することで、短時間で活性炭と同等の性能を示した。今後、廃水中のCOD濃度に関わらず、COD除去率が50%前後になる原因を調査し、本法を用いた廃水処理の実用化を目指す。