抄録
不法投棄現場において有機化合物等により複合汚染された廃棄物の撤去・処理には,掘削・選別作業時の安全性確保や処理費用の問題など様々な課題がある.
当該廃棄物の汚染レベルを普通レベル(環境基準以下)まで低減できれば,上述した課題を解決でき様々なリスク低減化が期待できる.対策方法として原位置バイオレメディエーションが注目されている.嫌気性バイオレメディエーション実験では,テトラクロロエチレン(PCE)を浸出水の循環のみで無害なエチレンまで浄化可能であることを明らかにした.しかし,嫌気性条件ではベンゼン,トルエンおよびキシレン類の浄化は分解速度が遅いため困難であった.
これらの物質は,好気条件では分解可能であることが知られている.そこで本研究では,ベンゼンやキシレン類などの揮発性有機化合物類(VOCs)を対象に好気・嫌気バイオレメディエーション実験を行い当該物質の分解レベルを明らかにすることを目的にした.