抄録
日本で吹付けアスベスト使用建物が建築年、構造別にどのくらい残存するかを把握すること、除去費用を簡易に推定する方法を考案することを目的に研究を行った。
モデルの構成は、使用率、使用面積割合、除去費用の3段階である。まず、使用率は吹付けアスベストの出荷量データを基に最尤法で推定した。また、使用面積は、対数正規分布を仮定し、76件のサンプルから母集団平均値の区間推定を行った。S造の方がRC、SRC造よりも使用面積割合が高くなっていること、面積が大きい場合、割合は小さくなることがわかった。除去費用推定式は、除去面積と除去費用単価それぞれの対数値の間に線形関係があり、さらに面積が1000m2以上では単価が一定となると仮定して推定した。係数は有意であり、単価の下限値も市場の相場とほぼ一致していることが分かった。
今後は、将来的に大量排出が予想される非飛散性アスベスト建材についてもマクロ的に同様の推定を行う予定である。