抄録
イラクの廃棄物処理体制の復興の現状と課題は以下の8点にまとめられる。1)収集運搬能力は都市によって差があるものの、全体として民間委託が進みつつあり行政の契約管理能力強化が課題である。2)バグダッド及び、キルクーク、エルビル、ドゥホークといった北部都市で衛生埋立処分場建設が進んでいるが、他都市はオープンダンプの状況である。3)焼却を含め中間処理は行なわれていず、今後計画が必要となっている。4)中央政府レベルでの国家廃棄物管理計画は策定されているが、県や自治体レベルで具体化されていない。5)産業廃棄物の分割管理を含む行政当局のエンフォースメント能力強化が課題である。6)医療廃棄物処理の技術改善が求められている。7)県及び地方自治体の行政組織は一応確立しているが、廃棄物処理実施機関の人材に不十分な面が多く、今後人材育成が必要である。8)市民参加や市民協力、環境教育は今後の課題である。