抄録
感染性産業廃棄物の排出量は、感染性産業廃棄物の適正処理の推進を行う上での基礎データといえるが、全国規模での調査データが見当たらないのが現状である。
そこで本考察では、都道府県産業廃棄物実態調査結果から感染性産業廃棄物および特別管理産業廃棄物の排出量のデータを収集し、全国規模での感染性産業廃棄物排出量の推計と病院および診療所の排出原単位による推計を行った。
その結果、都道府県産業廃棄物実態調査結果に基づく方法からは36±4万トン/年、病院および診療所の排出原単位に基づく方法からは32万トン/年の値を推計することができた。また、感染性産業廃棄物排出量は特別管理産業廃棄物排出量の1割を占めることも把握できた。
今後の課題は推計精度の向上である。全都道府県での感染性産業廃棄物および特別管理産業廃棄物排出量の公表、設定値の精査により、推計精度の向上が期待できる。