抄録
材料や素材の自給率を正しく評価することは,日本のような小資源国にとって,資源リスクを考慮に入れた社会システム構築のために必要不可欠である.従来,自給率は個々の原材料のみに注目して評価されてきた.しかし,自給率の異なる原料を組み合わせて作られた材料の総合的な自給率はどの程度か?といった問題に対して,適切に回答できる手法は筆者の知る限りない.そこで本研究では,関与物質総量 (Total Materials Requirement, TMR)を用いて,材料の包括的な自給率を評価する手法を構築することを目的とする.本稿では代表的な材料として銅と鋼材をあげ,本提案手法による分析を行う.