抄録
電子基板には貴金属やレアメタルなど多くの有用な金属が使用されているため、基板からの金属リサイクルが注目されている。金属を効率良く回収し、同時に環境に負荷をかけないリサイクル方法を開発するために多くの研究が行われている。このようなリサイクル方法の研究には電子基板の化学組成などの情報が必要である。電子基板中の金属の分析法としては、金属を酸分解して湿式の分析法を用いるのが一般的である。しかし、金属を溶液化する操作は複数の激しい酸を用いたり特別な分解装置を用いなければならないうえに金属が完全に分解されない場合もある。そこで、蛍光X線分析法を用いて固体のまま電子基板中の金属を定量分析する方法を開発することにした。簡便に試料調製を行うために電子基板は凍結粉砕機で粉砕した。また、蛍光X線分析する際は、粉末試料をポリエチレン製のカップに入れ、そのまま分析できるルースパウダー法を用いた。